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福岡高等裁判所 平成5年(行コ)26号 判決

控訴人(原告) 山口八郎 外二名

被控訴人(被告) 長崎県知事 農林水産大臣

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

一  控訴人らは「原判決を取り消す。被控訴人長崎県知事が、平成四年六月九日付けで長崎県央開発株式会社に対してなした、長崎県諫早市真崎・破籠井地区における「(仮称)ウエストヒルズカントリークラブ」に関する林地開発許可申請書の受理処分を取り消す。被控訴人長崎県知事は、県央開発株式会社のした右許可申請を不許可とせよ。被控訴人農林水産大臣が、平成四年一〇月二六日付けでした、控訴人らの同年七月二〇日付け審査請求を却下した裁決を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは主文同旨の判決を求めた。

二  本件事案の概要は、原判決の「第二 事案の概要」のとおりであるから、これ(原判決五頁三行目から一四頁七行目まで)を引用する。

三  当裁判所の判断

1  当裁判所も、控訴人らの被控訴人長崎県知事に対する訴えはいずれも不適法であり、被控訴人農林水産大臣に対する請求は理由がないものと判断するが、その理由は、原判決一七頁五行目の「主張するけれども、」から一八頁六行目末尾までを次のとおり改めるほかは、原判決が、その「第三 争点に対する判断」において説示するとおりであるから、これ(原判決一四頁九行目から二四頁三行目まで)を引用する。

「主張するところ、なるほど、旧基準と新基準のいずれに基づいて審査されるかは、本件申請の許否に多大な影響を及ぼすことは否定できないから、本件申請が不許可となることを求めている控訴人らにおいてこの点について重大な関心を持つのは当然である。しかしながら、前記新基準の適用についての経過措置により、旧基準の適用を受けられるためには、「既に保安林の解除事務の迅速化及び簡素化について(昭和六〇年一二月二四日付け60林野治第三九九二号林野庁長官通達)に基づく事前相談を了しているもの又は都道府県の要綱等に基づく事前協議等をおおむね了しているもの(林務担当部局として事業計画の内容審査を了しており、残置森林等の割合、配置等について具体的に指導、調整等がなされている事案)であって、(新基準の)通達施行日(平成二年六月一一日)以降二年以内に転用許可等の申請手続きを行うもの」でなければならないところ、本件申請が平成四年六月九日に受理されたということは、右要件のうちの申請時期についてのそれを充足しているというのみであって、その余の要件を具備しているか否かについては、控訴人らがこの点に関して指摘する種々の疑問点も含めて、本件申請の許否の判断そのものの中で判断されるものである。

したがって、本件申請が受理されたからといって、これをもって直ちに本件申請の審査が旧基準に基づいてなされることを意味することにはならないから、控訴人らの右主張は、既にその点において前提を欠いており、失当であるものといわなければならない。」

2  そうすると、原判決は正当であって、本件控訴はいずれも理由がないことに帰する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 鍋山健 小長光馨一 西理)

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